男たちの「少年の庭」⑤Yocchun Nakayama さん

少年だった男たちの「少年の庭」観劇後の感想。(中山さんの心の庭はトリアノン。優雅な隠れ家)

「新進気鋭の脚本家、春陽漁介氏からの挑戦状が届いたので中野へ。
今回もしっかり勉強させていただきました。
今作品は大阪公演も控えているので、ネタバレしないようにあっさり感想だけ。
演出次第ではホラーにできるかもしれないくらい怖い作品でした。綺麗ごとの薄気味悪さと言おうか、傾倒することの恐ろしさと言おうか。
違和感のある正論、正論ゆえにそれを論破できないもどかしさ。「だって、だってなんだかわかんないけど、厭なんだもん」とだだをこねるしかない感じ(笑)
始めは有吉佐和子の「悪女について」みたいなオムニバスっぽい話かなと思っていたのですが、そこはやはり春陽ワールド。見過ごしがちな視点の違いからくる違和感を切り口に「教育」について見事に問い掛けています。
現代社会から消えつつある子供達の「庭」、正しい在り方とはなんなのか、そもそも正解はあるのか。
いつもながら、この話はどこに着地するのだろうとハラハラさせられながらぐいぐい引き込まれていきます。
よく考えると非常に重たいテーマを、笑いを交えながら綺麗にラストまで持って行く演出はお見事でした。
帰り途でつい「でも、あれでいいのかな」と考えこんでしまうお土産つき(笑)
公演数を重ね、役者さん達にチーム感が整ってきて、「いい劇団になったな」と思いました。
皆さん素敵だったのですが、今回はアツシオさんの「美しい正論の胡散臭さ」が見事でした。佐瀬さんの「確信犯」っぷりもよかった。彼女はカルトとかマルチとか演らせると本当に上手。
あ、余談ですが「確信犯」とは「誰かが滑ると確信してバナナの皮を置いておく」犯罪ではなく、「バナナの皮は危険だと確信しているから町中のバナナを盗む」犯罪が正しい意味です。良い、もしくは悪いと信じているから罪を犯す。「彼女には悪魔が憑依しているから殺した」というのが確信犯です
先述しましたが今回は大阪公演もあるそうです。
東京は完売ですが大阪はまだ若干席の余裕があると聞きました。
関西の方、是非!」